登録支援機関の全貌:特定技能外国人雇用における重要性と活用法

登録支援機関の全貌:特定技能外国人雇用における重要性と活用法

はじめに

近年、日本の労働力不足を背景に、外国人材の受け入れが注目されています。特定技能制度において重要な役割を担うのが「登録支援機関」です。本記事では、登録支援機関の概要と特定技能制度との関連性について詳しく解説します。

登録支援機関とは、特定技能1号外国人が日本で安定的かつ円滑に就労・生活できるよう支援する機関です。特定技能制度において、これらの機関は外国人材と受入れ企業の橋渡し役として欠かせない存在となっています。

本記事の目的は、登録支援機関について読者の皆様の理解を深め、特定技能外国人の雇用を検討している企業や関係者の方々が、登録支援機関を効果的に活用できるようサポートすることです。

登録支援機関とは

登録支援機関の定義

登録支援機関は、1号特定技能外国人の支援計画を作成し、実施する役割を担う機関です。法務大臣の登録を受けた個人または団体が、この業務を行うことができます。

主な役割と責任

登録支援機関は、特定技能所属機関(受け入れ企業)からの委託を受けて、特定技能1号外国人が特定技能1号の活動を安定かつ円滑に遂行できるように、在留期間中の支援計画の策定および実施を担当する機関です。特定技能外国人を雇用する受入れ企業(団体)は特定技能所属機関と呼ばれ、これらの企業は受入れ機関とも称されます。受入れ機関は、特定技能外国人の職場、日常生活、および社会的なサポートを提供する責務が課せられています。

特定技能外国人の支援には、専門的な知識を要する書類作成などが含まれるため、雇用主である特定技能所属機関が自力で実施するのが難しい場合もあります。したがって、登録支援機関が特定技能所属機関に対して委託され、特定技能外国人の支援計画の策定および実施を代行します。

特定支援機関として登録できるのは、業界団体、社労士、民間法人、行政書士など多岐にわたります。支援計画の策定が可能な個人や団体は、原則として登録支援機関としての業務を遂行できます。

特定技能制度における登録支援機関の位置づけ

特定技能制度の概要

特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため、2019年4月に創設された制度です。この制度により、特定の産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材の受け入れが可能となりました。

登録支援機関の必要性

特定技能外国人が日本でスムーズに就労・生活するには、色んな支援が必要です。しかし、全ての受入れ企業がこうした支援を十分に行えるわけではありません。そこで、専門的な知識と経験を持つ登録支援機関の存在が重要となるのです。

受入れ企業と登録支援機関の関係

受入れ企業は、自社で支援を行うか、登録支援機関に支援業務を委託するかを選択できます。登録支援機関を利用することで、企業は外国人材の受け入れに伴う負担を軽減し、本業に集中することができます。

登録支援機関の現状

登録支援機関:8064機関
登録支援機関利用あり:84.4%
登録支援機関利用なし(自社内製化):15.6%
支援委託料(月額)平均額:28,386円
支援委託料(月額)最多帯:20,000〜25,000円以下(26.2%)

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登録支援機関の要件と選び方

登録支援機関になるための要件

登録支援機関になるには、以下の要件を満たす必要になります。登録支援機関になるためには、登録申請が必要です。

1.支援責任者と1人以上の支援担当者(フルタイムまたは兼任)を選任すること。 2.以下の条件のいずれかを満たすこと ・過去2年以内に中長期在留者(就労資格に限る)を受け入れた実績がある。 ・過去2年以内に外国人に関する各種相談業務に従事した経験がある(個人に関してのみ)。 ・選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上の中長期在留者の生活相談業務の経験があること。 ・その他の方法で、支援業務を適正に実施できると認められていること。 3.外国人が理解できる言語で情報提供と支援を行う体制を持っていること。 4.過去1年以内に特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと。 5.外国人本人に支援の費用を外国人本人に負担させないこと。

また、以下の拒否事由が適用されないことが必要です

1.関連法律により刑罰を受けたことによる拒否事由(禁錮以上の刑、罰金刑など)。 2.行為能力や役員の適格性に関連する拒否事由(精神機能の障害、破産手続開始など)。 3.登録の取り消しによる拒否事由(登録の取消しを受けた場合、5年未満)。 4.不正行為による拒否事由(過去5年以内に出入国または労働関係法令に関する不正行為を行った場合)。 5.暴力団排除に関連する拒否事由(役員に暴力団員がいる場合)。 6.行方不明者の発生による拒否事由(行方不明者を発生させている場合)。 7.支援責任者と支援担当者の選任が不十分な場合。 8.特定技能外国人の適正な受入実績がない場合などに関する拒否事由。 9.適切な情報提供と相談体制が不備な場合に関する拒否事由。 10.特定技能外国人支援計画の実施状況に関する文書が作成されていない場合。 11.支援責任者や支援担当者と特定技能所属機関との関係性による拒否事由 。 12.特定技能外国人に支援に要する費用を負担させている場合、登録支援機関となる資格はありません。 13.支援の委託契約を締結する際に、支援に要する費用の額および内訳を明示しない場合、登録支援機関として認められません。

選択する際の重要なポイント

適切な登録支援機関を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

1.対応可能言語 
登録支援機関が外国人の理解できる言語で支援を提供できることが重要です。各登録支援機関ごとに対応可能な言語が異なるため、自社で雇う外国人の言語に合致した機関を選びましょう。

2.所在地
登録支援機関の所在地は、自社の所在地との距離に留意する必要があります。遠隔地にある場合、支援の迅速性が損なわれる可能性があるため、近隣の登録支援機関を利用することを検討しましょう。同一の区、市、または都道府県内にある機関の利用が理想的です。

3.委託費用
登録支援機関ごとに業務委託の費用に差異があります。費用には機関ごとに異なる料金体系が存在し、1人あたりの費用は幅広く変動します。複数の登録支援機関の委託費用を比較し、支援業務の内容とともに検討しましょう。低コストだけでなく、支援業務の品質や内容にも注目して、特定技能外国人が円滑に就業し、成功するための最適な選択を考えましょう。

登録支援機関の義務的支援内容

登録支援機関の役割

登録支援機関の主な役割は、支援体制の整備と支援計画書の作成です。特定技能所属機関からの委託を受けて、特定技能外国人のための支援計画を策定し、義務的支援と任意的支援を計画・提供します。

特定技能所属機関が特定技能外国人への支援の遂行が困難な場合は、登録支援機関に業務を委託することができます。業務委託は重要な責務を伴うものであり、支援内容は義務的支援と任意的支援の両方が含まれます。

登録支援機関として登録されると、四半期ごとに支援の進捗状況を報告する義務が発生します。支援が適切に実施されているかどうかを確認し、行政機関へ報告しなければなりません。

具体的な支援内容

義務的支援

義務的支援は、特定技能外国人に提供しなければならない支援を指します。以下は主な義務的支援内容です。

特定技能所属機関の主な責務は、特定技能外国人を支援し、適切な状況で働けるようにすることです。以下はその主な支援内容です。

参考:特定技能外国人の受け入れる際のポイント(出入国在留管理庁)

1. 事前ガイダンスの提供
特定技能所属機関または登録支援機関は、特定技能外国人に情報提供ガイダンスを提供する責務があります。このガイダンスでは、以下の内容を説明します。

  • 業務内容、報酬額、労働条件

  • 日本での活動

  • 入国手続き

  • 契約関連の事項

  • 費用に関する確認

  • 転職支援

  • 外国人支援に要する費用

さらに、登録支援機関は、特定技能外国人に必要な提出書類の準備を支援する責務があります。

2. 出入国の際の送迎
特定技能外国人の入国および出国時に、特定技能所属機関は送迎を提供する責務があります。これは港や飛行場から特定技能所属機関までの送迎を含みます。

3. 住居確保と生活に必要な契約支援
特定技能所属機関は、特定技能外国人が適切な住居を確保できるよう支援し、銀行口座の開設、携帯電話契約、ライフラインサービス(電気、ガス、水道)など、生活に必要な手続きを助けます。

4. 生活オリエンテーションの実施
特定技能外国人に対し、日本での生活に関する情報提供と生活オリエンテーションを行う責務があります。これには日本語学習機会も含まれます。

5.公的手続きへの動向

6.日本語学習機会の提供
特定技能所属機関や登録支援機関は、特定技能外国人に対し、以下のいずれかの方法で日本語学習の機会を提供しなければいけません。

・日本語教育機関への案内:
就労や生活する地域の日本語教室や日本語教育機関について、特定技能外国人に情報を提供し、入学案内を支援すること。

・自己学習支援
特定技能外国人が自己学習で日本語を学ぶための教材やオンライン講座に関する情報を提供すること。

・日本語講習の提供
特定技能所属機関や他の機関が、特定技能外国人との合意のもとで、日本語教師と契約し、外国人に対して日本語講習を提供すること。

これらの方法により、特定技能外国人は日本での職場でのコミュニケーションや日常生活でのスキルを向上させ、成功するための言語スキルを継続的に向上させる機会を持つことができます。

7. 相談又は苦情への対応
特定技能外国人からの相談や苦情に対し、助言や指導を提供する責務があります。また、必要に応じて外国人を適切な機関に案内し、手続きをサポートします。

8. 日本人との交流促進
特定技能所属機関は、日本人との交流機会を提供し、地域の行事や自治会に案内する責務があります。

9. 転職支援
特定技能所属機関が雇用契約を解除する場合、次の雇用先を探すための情報提供や支援を行う責務があります。

10. 定期的な面談の実施と行政機関への通報
特定技能所属機関は特定技能外国人と定期的に面談し、労働法令や入管法の違反がある場合には関連行政機関に通報する責務があります。

これらの支援内容は、特定技能外国人の成功と安全な生活を確保するために不可欠です。また、特定技能外国人が理解できる言語で提供されることが求められます。

任意的支援

任意的支援は、義務的支援とは異なり、特定技能外国人に対して実施が必須であるわけではなく、義務的支援と比べて自由度が高いものです。しかしながら、特定技能外国人が日本での就労や生活を円滑に行えるよう、可能な限り任意的支援を提供することが奨励されています。

義務的支援が法的に要求される一方、任意的支援はその補完的な役割を果たすものと位置づけられています。両方の支援の詳細について理解しましょう。

1.適切な住居の確保に係る支援
特定技能外国人が雇用契約を終了し、次の雇用先が決まるまでの間、彼らの日常生活に支障が出ないよう、様々なサポートが求められます。また、生活に必要な契約に関する変更や解約手続きが必要な場合、特定技能外国人と一緒に窓口へ案内し、手続きをサポートする役割が期待されています。

2.生活オリエンテーションの実施
義務的支援で提供される情報に加えて、特定技能外国人の日常生活に役立つ情報を提供することが推奨されています。

3.日本語学習の機会の提供
支援担当者や支援責任者が特定技能外国人に対して積極的に日本語指導を行うことが奨励されています。また、特定技能外国人が自主的に日本語を学ぶ際に、日本語能力試験の受験支援や資格取得支援を提供することも推奨されています。

4.相談又は苦情への対応
特定技能外国人が相談や苦情を申し出る際の窓口情報を整理し、あらかじめ特定技能外国人に提供することが推奨されています。

特定技能外国人が日本を出国する際の送迎について、技能実習2号等から特定技能1号に在留資格を変更し、日本に在留中の場合、これは義務的支援の対象外です。ただし、特定技能所属機関が出国の際の送迎を実施したり、特定技能外国人が出国にかかる費用を負担することは問題ありません。

1号特定技能外国人支援計画

支援計画の概要

1号特定技能外国人支援計画は、1号特定技能外国人に対する支援の計画であり、外国人材の受入れから帰国までの一連の流れにおいて必要な支援内容を定めた計画です。この計画に基づいて、登録支援機関は適切な支援を行います。

作成方法と重要ポイント

支援計画の作成には、以下のポイントに注意が必要です:

  1. 外国人材の個別ニーズを考慮すること

  2. 具体的かつ実現可能な支援内容を盛り込むこと

  3. 法令遵守を徹底すること

実施における注意点

支援計画の実施に当たっては、以下の点に注意しましょう:

  1. 当該外国人のニーズに応じて、支援計画の実施を定期的に見直し、更新すること

  2. 支援の質の維持・向上

  3. 外国人材とのコミュニケーションの充実

技能外国人支援の重要性と実施方法

支援の目的と効果

技能外国人支援の主な目的は、外国人材が日本で安心して働き、生活できる環境を整えることです。適切な支援により、以下のような効果が期待できます:

  1. 外国人材の生産性向上

  2. トラブルの未然防止

  3. 企業と外国人材の良好な関係構築

効果的な支援の実施方法

  1. 個々の外国人材のニーズに応じたきめ細かな支援

効果的な支援は、外国人労働者の社会生活と職業生活の両面に対応する必要があります。特に、社会生活においては、生活オリエンテーションや相談への対応を通じて、外国人が日本で円滑に生活できるようにすることが重要です。また、職業生活においては、適切な労働条件の情報提供や相談・苦情への対応を通じて、安定した職業生活を送るための支援が求められます。

  1. 定期的なフォローアップと支援内容の見直し

  2. 多言語対応の充実

  3. 日本の文化や慣習に関する理解促進

登録支援機関のメリットと注意点

メリット

業務に専念できる

企業は外国人労働者に業務を効果的に教えることに専念できます。特に多くの支援を計画・実行するのは煩雑な作業であり、登録支援機関に委託することで、企業は業務にリソースを集中できます。

負担の軽減

支援にかかる時間とリソースが削減できます。外国人労働者へのガイダンスを提供する際に、企業は人手不足で新たな従業員を雇うことが難しいかもしれません。登録支援機関がこの役割を果たすことで、企業の負担を軽減できます。

第三者の利点

登録支援機関は第三者であり、外国人労働者にとっては悩みや問題を打ち明けやすい環境を提供します。外国人労働者が職場内で直接悩みを相談しにくい場合があるため、第三者が仲介することで円滑な支援が行え、潜在的なトラブルの早期発見にも寄与します。

注意点

支援体制・実績の確認

登録支援機関の過去の実績や評判をしっかりと調査しましょう。

費用対効果の検討

委託費用と得られる効果のバランスを考慮することが重要です。

まとめ

登録支援機関は、特定技能外国人のスムーズな受入れと就労を支える重要な存在です。適切な登録支援機関を選択し、効果的に活用することで、企業と外国人材の双方にとって有益な関係を構築することができます。

今後、日本における外国人材の需要はますます高まると予想されます。登録支援機関の役割も同様に重要性を増していくでしょう。企業の皆様には、登録支援機関を単なる業務委託先ではなく、パートナーとして捉え、協力して外国人材の受け入れを進めていくことをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q: 登録支援機関とは何ですか? A: 登録支援機関は、特定技能1号外国人の支援計画を作成し、実施する役割を担う、法務大臣の登録を受けた個人または団体です。

Q: 監理団体と登録支援機関の違いは何ですか? A: 監理団体は技能実習制度に関わる組織で、登録支援機関は特定技能制度に関わる組織です。対象となる外国人材や支援内容が異なります。

Q: 登録支援機関の月額費用はいくらですか? A: 費用は登録支援機関によって異なりますが、一般的に月額1万円〜5万円程度です。ただし、支援内容や地域によって大きく変動する可能性があります。

Q: 登録支援機関になるための要件は? A: 主な要件は、支援責任者と支援担当者の選任、過去の外国人支援実績、登録拒否事由に該当しないことなどです。詳細は法務省のガイドラインを確認してください。

Q: 登録支援機関とは? A: 登録支援機関は、特定技能外国人の支援を行うために法務大臣の登録を受けた機関のことです。

Q: 登録支援機関の業務一覧は? A: 主な業務には、支援計画の作成・実施、生活オリエンテーション、行政手続きの補助、日本語学習支援、相談対応などがあります。

Q: 登録支援機関になるメリットは? A: 登録支援機関になるメリットには、新たなビジネス機会の獲得、外国人支援に関する専門性の向上、社会貢献などが挙げられます。

Q: 特定技能所属機関と登録支援機関の違いは何ですか? A: 特定技能所属機関は特定技能外国人を直接雇用する企業や団体を指し、登録支援機関はその外国人材の支援を行う機関を指します。両者の役割は異なります。

Q: 出入国在留管理庁の役割は何ですか? A: 出入国在留管理庁は、登録支援機関の登録および監督を行う重要な機関です。特定技能制度に基づく在留外国人数の管理や、登録支援機関の登録要件の確認も担当しています。

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