EPA介護福祉士候補者とは?受け入れ方法や資格取得の要件を詳しく解説

EPA介護福祉士候補者とは?受け入れ方法や資格取得の要件を詳しく解説

EPA介護福祉士とは?

「EPA介護福祉士候補者」という言葉は経済連携協定(EPA)に基づいて、日本の介護施設で働きながら、介護福祉士の資格を目指す外国の個人を指します。このプログラムの主な目的は、国際的な連携を強化し、介護分野における人材不足を補完することではなく、経済的な協力活動を促進することです。この取り組みは、2008年から始まり、現在までにインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヶ国で受け入れています。

EPA介護福祉士候補者の受入状況

日本で介護業務に従事できる在留資格は、EPA介護福祉士候補者、在留資格「介護」、技能実習、および特定技能の4つが存在します。各在留資格には、取得に必要な要件が設定されていますが、いずれの在留資格においても、受け入れ人数は増加している傾向にあります。

EPA介護福祉士候補者の受け入れ可能施設

来日した介護福祉士候補者は、日本国内で日本語学習を行い、その後介護施設などで研修を受けます。この日本語学習プログラムは、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)によって支援され、その費用は受け入れ施設によって負担されます。日本語学習に関連する費用については、以下の図を参照してください。

受入い機関の費用負担について

訪日後日本語研修機関へのお支払いについて

受入れ候補者金額請求時期経費内容
インドネシア人、フィリピン人候補者360,000円(税込)/1人当たり




研修終了後
日本語研修費用の一部負担金
ベトナム人候補者260,000円(税込)/1人当たり日本語研修費用の一部負担金

ベトナム人候補者(再チャレンジ生)
260,000円(税込)/1人当たり日本語研修費用の一部負担金
(約70,000〜80,000円/1人当たり)候補者の来日渡航費

介護福祉士候補者を受け入れられる施設について、下記にまとめました。

受入れ可能な施設種別・介護老人保健施設・障がい者施設・デイサービス・介護老人福祉施設・介護療養型医療施設・特別養護老人ホーム・短期入所・養護老人ホーム
施設要件・法令に基づく職員の配置基準を満たしている定員30人以上の施設・候補者の帰国費用の確保など、帰国担保措置を講じることができる・候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払える・適切な研修体制が確保できる
・候補者の宿泊施設が用意できる・常勤介護職員の4割以上が介護福祉士を有する

EPA介護福祉士候補者の受け入れる流れ

介護福祉士候補者は、来日前に国際厚生事業団(JICWELS)による施設とのマッチングプロセスを経ます。まず、候補者の就労意向を確認し、その後、マッチング専用ウェブサイトに候補者の求職情報が提供されます。受け入れ施設は求人票、施設説明書、研修計画書などの情報をJICWELSに提出し、これらの文書は英訳されて候補者に提供されます。マッチングの詳細は以下の図をご参照ください。

EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者受入れの枠組み、手続き等について

EPA介護福祉士候補者の資格取得方法

EPA介護福祉士候補者は、フィリピン、インドネシア、ベトナムの3ヶ国それぞれの条件をクリアし、かつ日本語能力の要件を充たす必要があり、資格を取得するプロセスが異なります。

【インドネシア・フィリピン】

1.自国での候補者要件を満たす
2.日本入国前に、日本語研修を受講(6ヶ月)
3.日本語能力試験N5以上の合格
4.日本入国後、追加の日本語研修を受講(6ヶ月)
5.受け入れ施設(病院または介護施設)での業務と研修

ただし、日本語能力試験N2以上の取得者は、日本入国前と後の日本語研修が免除されます。また、日本語能力試験N3またはN4の取得者は、日本入国前の日本語研修が免除されます。

【ベトナム】

1.自国での候補者要件を満たす
2.日本入国前に、長期の日本語研修を受講(12ヶ月)
3.日本語能力試験N3以上の合格
4.日本入国後、追加の日本語研修を受講(2.5ヶ月)
5.受け入れ施設(病院または介護施設)での業務と研修

ベトナムからの候補者も、日本語能力試験N2以上の取得者は、日本入国前の日本語研修が免除されます。

受験者数や合格率

第35回介護福祉士国家試験結果

2023年に実施された介護福祉士国家試験において、受験者数は79,151名で、そのうち66,711名が合格しました。この中には、EPA介護福祉士候補者も含まれており、1,153名が受験し、754名が合格しました。EPA介護福祉士候補者の合格率は65.4%で、前年度の36.9%に比べて倍近い合格率となりました。

特にベトナム人の合格率は非常に高く、96.1%で、180名の合格者を輩出しました。この成功の背後には、ベトナムからの候補者が入国時に既に高い日本語能力(N3以上)を持っていたことが挙げられており、これが後の学習に大いに役立ったと言われています。

また、受け入れ施設からも、EPA介護福祉士候補者の数が増加したことにより、異文化との交流が生まれ、介護現場が活気づいたという反応があります。このような成果から、今後のEPA介護福祉士候補者の活躍にますます期待が高まっています。

他の在留資格との違い

以下の表が4つの在留資格の違いになります。

概要介護福祉資格の有無働ける期間母国での資格や学習経験日本語能力の目安受入調整機関等の支援就労可能なサービス種別の制限
EPAEPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補の雇用資格なしただし、資格取得を目的としている資格取得後は永続的な就労可能一定の期間中に資格取得できない場合は帰国看護系学校の卒業生 or 母国政府より介護士に認定大多数は、就労開始時点でN3程度入国時の要件は尼・比:N5程度、越:N3ありJICELSによる受入調整制限あり介護福祉士の資格取得後は、一定条件を満たした事業所の訪問系サービスも可能
特定技能在留資格「特定技能1号」を持つ外国人の雇用資格なしただし、実務要件等を満たせば、受験することは可能最長5年個人による入国時の要件は・ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力・介護の現場で働く上で必要な日本語能力あり登録支援機関によるサポート制限あり訪問系サービスは不可
技能実習技能実習制度を活用した外国人(技能実習生)の雇用資格なしただし、実務要件等を満たせば、受験することは可能最長5年監理団体の選考基準による入国時の要件はN4程度あり監理団体による受入調整制限あり訪問系サービスは不可
在留資格「介護」日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」を持つ外国人の雇用介護福祉士永続的な就労可能個人による一部の養成校の入学要件はN2程度なし制限なし

EPA介護福祉士候補者を受け入れる際の注意点と課題

外国人介護人材を受け入れている事業者と、受け入れを検討している事業者の共通の課題およびそれぞれの課題について以下にまとめました。

すでに外国人介護人材を受け入れている事業者の課題

受け入れ費用

介護事業所は外国人介護人材の採用支援を行う団体に委託費用や紹介費用を支払うことが一般的です。支払い期間や金額を確認し、適切なサポートを受けることが重要です。

外国人介護人材の受け入れを検討している事業者の課題

受け入れ制度や手続きが分からない

在留資格による受け入れ要件は異なり、正確に理解することが難しい。監理団体や登録支援機関のサポートを受けて手続きをスムーズに行うことが重要。

どちらの事業所にも共通する課題

日本語での読み書きやコミュニケーション

外国人介護人材の日本語能力に不安を感じる事業所が多い。コミュニケーションサポートやフォローアップが必要。

受け入れ体制の整備

スタッフ同士のコミュニケーションに課題がある場合、言語だけでなく文化や宗教についても理解を深める研修を行うなど、受け入れ体制を整える必要があります。

教育体制の整備

外国人介護人材に対する理解やOJTの準備が必要。教え方の統一や十分な教育時間を確保するための体制整備が必要です。

生活習慣の違い

外国人介護人材は異なる文化や生活習慣を持つ場合があり、これらを尊重し、共存可能な環境を整えるための努力が必要です。

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