外国人の在留資格における「永住者」と「特別永住者」の違い

外国人の在留資格における「永住者」と「特別永住者」の違い

永住者とは

永住者とは、永住許可の申請が法務大臣に許可され、永続的に日本に滞在することが可能な外国人であり、2023年6月時点で日本には約88万人の永住者がいます。一般永住者は在留カードの交付があり、外国人雇用状況届出が義務付けられますが、特別永住者にはこれが必要ありません。

永住許可申請のプロセスには、現在持っている在留資格から永住者の在留資格へ変更する方法や、特別永住者として認められるための基準が含まれます。永住者はその他の外国人滞在者と異なり、在留資格の申請や雇用手続きに違いがあり、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること、そして永住が日本国の利益になると認められることが求められます。

永住許可申請のプロセスの基準具体例
素行が善良であること・法律や法令の違反をしていないこと。
・法律を遵守し、平穏に暮らしているか審査されます。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること・日本で生活するための収入、スキルなどがあるかなどを審査されます。
・自活できない人には永住権は許可できない。
永住が日本国の利益になると認められることその外国人の永住が、日本の利益になるかどうか。

特別永住者とは

特別永住者とは、第二次世界大戦後、日本が敗戦国として平和条約に基づいて日本国籍を離脱したものの、既に日本に定住していたため、入管法に基づいて永住資格が付与された外国人を指します。永住者とは、特別永住者の定義、人数、特権、そして国籍の喪失に関する法的な議論も含めて、具体的なデータとともに分析されています。特別永住権は、第二次世界大戦前から日本に住んでいた在日韓国人、朝鮮人、台湾人に与えられており、「平和条約国籍離脱者」及び「平和条約国籍離脱者の子孫」である特別永住者には、これら3つの国籍が非常に多いです。

特別永住者の申請においては、申請人が自身である必要がない場合もあり、法定代理人や特定の機関の職員が代理で申請を行うことができます。

また、特別永住者の身分系在留資格は入管特例法に基づいており、特別永住者の資格喪失や復活に関する法的背景もこの法律で定められています。

永住者と特別永住者の違い

2種類の在留資格はどちらも就労に関わる制限がないため、雇用主がおこなう手続きは比較的簡単です。
採用までの流れは永住者と特別永住者で異なる部分がある。

在留カードの有無永住者
永住者は在留カードを保持しており、これにより在留資格や在留期間が確認できます。雇用主は、採用時に在留カードを確認し、必要な情報を把握します。

特別永住者
特別永住者も特別永住者証明書という在留カードに類似した証明書を持っています。この証明書も採用時に確認し、在留資格を確認します。
外国人雇用状況届出の要否永住者
雇用主は、永住者を採用した場合、外国人雇用状況の届出が必要です。これは、ハローワークに対して行うもので、外国人雇用の現状を把握するために必要な手続きです。

特別永住者
特別永住者の場合、外国人雇用状況の届出は不必要です。特別永住者は法律上、特別な地位を有しており、この手続きから免除されています。

永住者証明書について

永住者証明書とは、「永住者としての法的地位を証明する」在留カードのことです。

記載内容氏名: 本人の氏名。
生年月日: 本人の生年月日。
性別: 本人の性別。
国籍・地域: 本人の国籍または地域。
住居地: 本人の住居地。
在留資格: 「永住者」としての資格。
在留期間: 「無期限」と記載。
在留期間の満了日: 「なし」と記載。
在留カード番号: 固有の番号。
就労制限の有無: 「なし」と記載。
その他の記載事項: 必要に応じて追加の情報が記載されることがあります。

有効期間

永住者の在留カードの有効期間は通常7年です。16歳以上の永住者は7年ごとに更新が必要です。16歳未満の場合、16歳の誕生日までが有効期間となります。

在留カードとの違い

永住者の在留カードと他の在留資格の在留カードの主な違いは以下の通りです。

在留資格
永住者   :「永住者」としての資格を証明。
他の在留資格: 「技術・人文知識・国際業務」、「留学」など、様々な在留資格を証明。


在留期間
永住者   : 「無期限」と記載。
他の在留資格: 在留資格に応じた期間(例:1年、3年、5年など)が記載。


就労制限
永住者   : 就労制限なし。
他の在留資格: 在留資格によっては就労制限あり。

永住者証明書の更新手続

永住者の在留資格には有効期間はありませんが、在留カードには有効期間が設定されています。この在留カードを更新するためには、所定の手続きを行う必要があります。

・申請者 永住者本人。16歳未満の場合、法定代理人(通常は親)が代わりに申請することができます。

・申請先 最寄りの地方出入国在留管理局または出張所。

・申請期間 有効期間満了日の2か月前から申請できます。期限内に申請を行わないと、罰則が適用される可能性がありますので注意が必要です。

必要書類等 更新手続きには以下の書類が必要です。

  1. 在留カード: 現在所持している在留カード。

  2. 申請書: 在留カード有効期間更新申請書。

  3. 写真: 最近3か月以内に撮影された縦4cm×横3cmの写真。

  4. パスポート: 所持している場合はパスポート。

  5. その他の書類: 出入国在留管理局が要求するその他の書類がある場合もあります。

  6. 手数料 :更新手続きにかかる手数料は無料です。

永住者の雇用手続き 永住者には就労制限がなく、どのような職種でも就労可能です。ただし、外国人雇用状況の届出は義務付けられています。企業側が負担する特別な費用はありません。

永住者のメリット

永住者は、日本国内で自由に職種・業種を選んで就労でき、在留期間に制限がなく定期的な在留資格の更新も不要です(ただし、在留カードは7年ごとに更新が必要)。また、日本の社会保障制度(健康保険や年金など)に加入でき、帰化申請の条件も比較的緩和されています。さらに、永住者は住宅ローンなどの金融サービスを利用しやすく、配偶者や子供の日本への呼び寄せも容易です。

ただし永住者には、日本の法律や規則を遵守し、日本で得た収入に対して適切に税金を納付する義務があり、さらに16歳以上の場合、常に在留カードを携帯する義務があります。このように、永住者は特別永住者と比較すると、より一般的な外国人向けの在留資格であり、特別永住者ほどの特別な措置はありませんが、他の在留資格と比べると多くの権利と自由が与えられています。

このように、永住者は特別永住者と比較すると、より一般的な外国人向けの在留資格であり、特別永住者ほどの特別な措置はありませんが、他の在留資格と比べると多くの権利と自由が与えられています。

特別永住者証明書について

特別永住者証明書とは、「特別永住者としての法的地位を証明する」カードです。

記載内容氏名: 本人の氏名。
生年月日: 本人の生年月日。
性別: 本人の性別。
国籍・地域: 本人の国籍または地域。
住居地: 本人の住居地。
在留資格: 「特別永住者」としての資格。
在留資格の取得年月日: 特別永住資格を取得した日。
有効期間: 証明書の有効期限。
その他の記載事項: 必要に応じて追加の情報が記載されることがあります。

有効期間

特別永住者証明書の有効期間は通常は7年です。ただし、16歳未満の特別永住者の場合、有効期間は7歳の誕生日まで、または特別永住者としての資格を取得してから7年間のいずれか短い方となります。16歳の誕生日以降に更新する場合は、7年ごとに更新が必要です。

在留カードとの違い

特別永住者証明書と在留カードの主な違いは以下の通りです。

・発行対象
特別永住者証明書: 日本に長期間定住している特別永住者(主に在日韓国人、朝鮮人、台湾人など)。
在留カード: 日本に在留する外国人(特別永住者を除く)。

・在留資格
特別永住者証明書: 「特別永住者」としての資格を証明。
在留カード: 様々な在留資格(「永住者」、「技術・人文知識・国際業務」、「留学」など)を証明。

有効期間
特別永住者証明書: 通常7年、16歳未満の場合は7歳の誕生日までまたは特別永住資格取得から7年間。
在留カード: 在留資格に応じて決定される(例:永住者は7年、他の在留資格は在留期間に応じて)。

・法的背景
在留資格有効期間
特別永住者証明書: 通常7年、16歳未満の場合は7歳の誕生日までまたは特別永住資格取得から7年間。在留カード: 在留資格に応じて決定される(例:永住者は7年、他の在留資格は在留期間に応じて)。
法的背景
特別永住者証明書: 特別永住者法に基づく特別な地位を証明。
在留カード: 出入国管理及び難民認定法に基づく在留資格を証明。

特別永住者証明書の更新手続

特別永住者の在留資格には有効期間はありませんが、特別永住者証明書には有効期間が設定されています。この証明書を更新するためには、所定の手続きを行う必要があります。

申請者特別永住者本人または申請者、申請人。16歳未満の場合、法定代理人(通常は親)が代わりに申請することができます。
申請先最寄りの市区町村役場または地方入国管理局。
申請期間有効期間満了日の2か月前から申請できます。期限内に申請を行わないと、罰則が適用される可能性がありますので注意が必要です。
必要書類等更新手続きには以下の書類が必要です。

特別永住者証明書: 現在所持している特別永住者証明書。

申請書: 特別永住者証明書更新申請書。

写真: 最近6か月以内に撮影された縦4cm×横3cmの写真(16歳以上の場合)。

パスポート: 所持している場合はパスポート。

その他の書類: 市区町村役場または入国管理局が要求するその他の書類がある場合もあります。

手数料:更新手続きにかかる手数料は無料です。

特別永住者の雇用手続き

特別永住者には就労制限がなく、外国人雇用状況の届出が他の外国人と同様に義務付けられています。企業側が負担する費用は特にありません。永住権を持っている場合は、在留期間や就労可能業務内容に制限がないので、在留期限や就労可能業務内容を気にする必要はありません。

特別永住者のメリット

特別永住者は、本人またはその父母がかつて日本国籍を保有していたという歴史的背景から、他の外国人(特に通常の永住者)と比較して、次のような特別な措置が適用されます。

退去強制

特別永住者は、他の外国人に比べて退去強制の対象となる条件が厳しく制限されています。具体的には、重大な犯罪行為を行った場合や国家に対する脅威となる行為を行った場合にのみ退去強制の対象となります。

再入国許可

特別永住者は、再入国許可の要件が他の外国人よりも緩和されています。具体的には、一度日本を出国しても再入国が比較的容易であり、特別永住者証明書を持っていれば、一時的な出国の場合、再入国許可が不要な場合もあります。

登録証明書携帯義務違反における罰則の特例

特別永住者は、外国人登録証明書の携帯義務違反に対する罰則が他の外国人よりも軽減されています。通常、外国人が登録証明書を携帯していない場合には罰金が科されますが、特別永住者の場合はこの罰則が適用されないか、適用される場合でも軽減されます。

雇用対策法に基づく届出義務適用除外

特別永住者は、雇用対策法に基づく外国人雇用状況届出の義務が適用除外となっています。これにより、特別永住者を雇用する際には、企業が外国人雇用状況を届け出る必要がありません。この点は他の外国人とは異なる特別な取り扱いです。

まとめ

日本政府の留学生30万人計画などの施策により、日本に在留する外国人が増加し続けています。その中で永住者は企業にとって雇用しやすい人材となり、ビザの問題で採用を躊躇している企業も採用に踏み切りやすくなります。

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