監理団体とは?役割と選び方を徹底解説

監理団体とは?役割と選び方を徹底解説

はじめに

外国人技能実習制度は、日本の技術や知識を発展途上国に移転し、国際協力に貢献することを目的としています。この制度の要となるのが「監理団体」です。本記事では、監理団体の定義から役割、選び方まで詳しく解説します。

監理団体の定義

監理団体とは、技能実習生を受け入れる方法の1つである団体監理型の監理団体です。主に協同組合や公益財団法人などの非営利団体が該当します。監理団体は、企業の依頼を受け、技能実習生の募集から受入れまでの手続き、さらには受入れ後の監査と指導を行います。

管理団体の種類

技能実習生の受け入れには、「企業単独型」と「団体監理型」の2つのパターンがありますが、「団体監理型」で技能実習生を受け入れる場合、監理団体による支援やサポートが必要です。この場合、事前に任意の監理団体に加盟する必要があります。

◆企業単独型
日本の企業や団体が、海外の取引先や現地法人、合弁企業などとの独自のつながりを利用して、直接技能実習生を迎え入れる方式です。

◆団体監理型
監理団体が海外で技能実習生を募集し、実習生の受け入れを希望する企業などで技能実習を行う方式です。

監理団体の主な役割

監理団体の役割は多岐にわたります。主な役割を以下に示します。

技能実習生の募集と受入れ

役割: 管理団体は、日本の企業や団体と連携して技能実習生を募集し、適切な受け入れを行うことを担います。

詳細:

  1. 募集活動: 海外の送り出し機関と連携し、実習生の募集活動を行います。これは、各国の政府認定機関との調整を含みます。

  2. 選考プロセス: 実習生の適性を評価するための面接や試験を実施し、適格な候補者を選定します。

  3. ビザ手続き: 日本への入国に必要なビザの取得手続きをサポートします。

  4. 受け入れ準備: 実習生が日本に来る前に、生活環境や勤務条件についての情報提供を行います。

技能実習計画の作成指導

監理団体は、実習実施者(受入れ企業)が適切な技能実習計画を作成できるよう指導します。この計画は、技能実習生が実際の作業を通じて技能や知識を習得することを目的としています。

役割: 管理団体は、受け入れ企業が技能実習計画を適切に作成できるよう指導・支援を行います。

詳細:

  1. 計画策定支援: 企業が技能実習の目的や内容、実習期間を明確にするための計画書を作成する手助けをします。

  2. 法令遵守: 技能実習計画が技能実習制度の法律や規制に準拠しているかを確認し、必要な修正を指導します。

  3. 提出代行: 完成した計画書を監督機関に提出し、認定を受ける手続きをサポートします。

技能実習生の保護・支援

監理団体は、技能実習生の権利を守り、安全で充実した実習生活を送れるよう支援します。具体的には、以下のようなサポートを提供します

  • 母国語での相談対応

  • 労働条件や待遇に関する助言

  • 生活面でのサポート

役割: 管理団体は、技能実習生の権利を守り、実習期間中の生活と労働環境を支援します。

詳細:

  1. 生活支援: 実習生の住居確保や生活指導を行い、文化や言語の違いによる困難を軽減します。

  2. 労働環境の確認: 実習先の労働環境が適切であるかを定期的に確認し、不当な扱いがないように監視します。

  3. 相談窓口: 実習生が抱える問題や悩みを相談できる窓口を設置し、迅速に対応します。

  4. トラブル対応: 労働条件や人間関係のトラブルが発生した場合に、調停や解決を図ります。

訪問指導

監理団体は、少なくとも月に1回以上実習実施者を訪問し、技能実習の実施状況を確認します。また、認定された技能実習計画に基づいて適切に実習が行われるよう、必要な指導を行います。

役割: 管理団体は、受け入れ企業や実習先を訪問し、技能実習の実施状況を監査します。

詳細:

  1. 定期訪問: 実習生が働く現場を定期的に訪問し、実習内容や労働条件が計画通りに実施されているかを確認します。

  2. 監査報告: 訪問結果を報告書にまとめ、必要に応じて改善指導を行います。

  3. 法令遵守の確認: 実習先が技能実習法や労働法を遵守しているかを監査し、違反があれば是正を指導します。

  4. 緊急対応: 不正行為や重大な問題が発覚した場合には、迅速に関係機関と連携し、対処します。

監理団体の許可基準

監理団体として活動するためには、主務大臣からの許可を取得する必要があります。許可基準には以下のようなものがあります。

① 営利を目的としない法人
② 監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有する
③ 監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する
④ 個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じている
⑤ 外部役員又は外部監査の措置を実施している
⑥ 基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次ぎに係る契約を締結している
⑦ 優良要件への適合<第3号技能実習の実習監理を行う>
⑧ ①~⑦のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持している

一般監理事業と特定監理事業の違い

監理団体の許可は、一般監理事業と特定監理事業の2種類あります。一般監理事業を行うことができる監理団体は「優良な監理団体」と呼ばれ、法令違反がないことや、技能評価試験の合格率、指導・相談体制などの一定の要件を満たしている監理団体だけが認定されます。

特定監理事業技能実習1号(1年目)、技能実習2年目(2-3年目)の監理をする事業
一般監理事業技能実習1号(1年目)、技能実習2年目(2-3年目)+技能実習3号(4-5年目)を監理する事業

技能実習生には「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」の3種類がありますが、技能実習が最大5年間可能な3号は、一般監理事業の許可を得た監理団体のみが受け入れを行うことができます。技能実習生に長期間活躍してもらいたい企業は、優良な一般監理事業に認定された監理団体を選ぶことをお勧めします。

監理団体のサポート内容

監理団体は、実習実施者と技能実習生の双方にサポートを提供します。

受入れ企業への支援

  • 技能実習計画の作成と申請サポート

    • 監理団体は、受け入れ企業が技能実習生のための具体的な実習計画を作成する際に支援を行います。計画には、技能習得のための詳細なカリキュラムやスケジュール、目標などが含まれます。

    • 必要な書類の準備や申請手続きに関するアドバイスを提供し、計画が適切かつ法令に準拠していることを確認します。

  • 技能実習生の入国手続きの支援

    • 技能実習生がスムーズに入国できるように、ビザの申請や必要な書類の準備をサポートします。また、入国後の手続きについても指導し、適切な対応が取れるようにします。

  • 労務管理や法令遵守に関する助言

    • 受け入れ企業が労働法や技能実習制度に関する法令を遵守するためのアドバイスを提供します。これには、労働条件の設定、労働契約の締結、労働時間の管理などが含まれます。

    • 定期的な訪問や監査を通じて、企業が適切に法令を遵守しているかを確認し、必要な改善を指導します。

技能実習生への支援

  • 日本での生活オリエンテーション

    • 日本に到着した技能実習生に対して、生活に関する基本的な情報を提供するオリエンテーションを行います。これには、公共交通機関の利用方法、日常生活のルール、緊急時の対応などが含まれます。

  • 日本語学習のサポート

    • 技能実習生が日本語を習得できるように、日本語学習の機会を提供します。これには、日本語教室の紹介や教材の提供、学習プログラムの運営が含まれます。

  • 健康診断の手配

    • 技能実習生の健康を守るために、定期的な健康診断の手配を行います。必要に応じて、医療機関との連携や病院への同行も行います。

  • 住居の手配

    • 技能実習生が安心して生活できるように、住居の手配を行います。適切な住環境を提供し、生活に必要な家具や家電の準備もサポートします。

監理団体の選び方

適切な監理団体を選ぶことは、技能実習制度を成功させる鍵となります。以下の点を考慮して選びましょう。

監理団体の規模と実績

監理団体を選ぶ際には、規模が大きく豊富なリソースやネットワークを活用できる団体を選ぶことが重要であり、過去に多くの技能実習生や企業をサポートしてきた実績がある団体は、信頼性が高く、経験に基づいた迅速かつ適切な問題解決が期待できます。

サポート内容の充実度

監理団体を選ぶ際には、技能実習生の生活支援、労務管理、法令遵守、技能実習計画の作成支援など包括的なサポートが提供されているか確認し、日本語教育、健康診断、住居の手配など特定のニーズに対する細やかな支援が充実しており、実習生が日本での生活に適応しやすい環境が整っているかを確認することが重要です。

受入れ可能な国籍

監理団体を選ぶ際には、多様な国籍に対応しており、特定の国からの実習生を希望する場合にはその国からの受け入れ実績があるかを確認し、実習生の出身国に合わせた文化や言語のサポートが提供され、多言語対応のスタッフや通訳がいることでコミュニケーションが円滑に進み、実習生の安心感が高まることを確認することが重要です。

監査業務の実施状況

監理団体を選ぶ際には、定期的に受け入れ企業を訪問し監査を実施しているか、監査の頻度や内容について具体的な情報を得て実習生の労働環境が適切に管理されているかを確認し、また、監査中に問題が発見された場合に迅速かつ適切に対応する能力があるか、過去の問題解決事例などを参考にして確認することが重要です。

過去の行政処分の有無

監理団体を選ぶ際には、過去に行政処分を受けたことがあるかどうかを確認し、処分の内容や原因を調べるとともに、もし行政処分を受けたことがある場合にはその後の改善措置が適切に行われたかを確認し、改善措置がしっかりと実施されている場合には再発防止に向けた取り組みが行われていることを期待することが重要です。

監理団体の費用

監理団体にかかる費用は、団体によって異なります。一般的な費用項目には以下のようなものがあります。

  • 監理費

  • 講習費

  • 手続き代行費

  • 通訳費

費用の透明性は重要です。監理団体と契約する前に、詳細な費用内訳を確認しましょう。

監理団体の変更について

状況によって、監理団体の変更が必要になる場合があります。変更が可能な場合と手続きについて、以下に簡単にまとめます。

変更可能な場合監理団体の許可取消し
監理団体が法令違反などにより行政から許可を取り消された場合、受け入れ企業と技能実習生は別の監理団体を探す必要があります。

管理団体の廃業
監理団体が経営不振などの理由で廃業した場合、受け入れ企業は新たな監理団体を見つけ、契約を結ぶ必要があります。
変更手続き新たな監理団体との契約
受け入れ企業は新たな監理団体を探し、契約を結びます。この際、前述の監理団体選びのポイント(規模と実績、サポート内容、受入れ可能な国籍、監査業務、過去の行政処分)を参考に、適切な監理団体を選びます。

技能実習計画の変更申請
新しい監理団体との契約が成立した後、技能実習計画の変更申請を出入国在留管理庁に提出します。申請には以下の書類が必要です。
・変更申請書
・新しい監理団体との契約書
・新たな技能実習計画
・その他必要な書類(受け入れ企業の情報、技能実習生の情報など)

変更時は、技能実習生の実習の継続性に十分配慮する必要があります。

まとめ

監理団体は、技能実習制度を支える重要な存在です。適切な監理団体を選ぶことで、技能実習生と受入れ企業の双方が充実した技能実習を実現できます。監理団体の役割や選び方を十分理解し、自社に最適な監理団体を選択しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q: 監理団体とは何ですか?
A: 監理団体とは、技能実習生を受け入れる団体監理型の非営利団体で、技能実習生の募集から受入れ、監査、指導までを行う組織です。

Q: 監理団体の主な仕事は何ですか?
A: 主な仕事は、技能実習生の募集、受入れ手続き、技能実習計画の作成指導、技能実習生の保護・支援、訪問指導と監査です。

Q: 監理団体の法人格は何ですか?
A: 監理団体の法人格は、主に協同組合や公益財団法人などの非営利団体です。

Q: 外国人技能実習機構の監理団体とは何ですか?
A: 外国人技能実習機構は監理団体ではありません。監理団体を監督・支援する政府機関です。

Q: 技能実習生の監理団体の数はどれくらいですか?
A: 正確な数は変動しますが、2024年4月現在、日本全国で約2,000の監理団体が活動しています。

Q: 監理団体の監査とは何ですか?
A: 監理団体の監査とは、技能実習が適正に行われているかを確認するため、定期的に実習実施者を訪問し、実習状況を点検することです。

Q: 技能実習生の監理団体にかかる費用はどのくらいですか?
A: 費用は監理団体によって異なりますが、一般的に監理費、講習費、手続き代行費、通訳費などがかかります。詳細は各監理団体に確認してください。

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